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『あたらしい働き方』(書評)

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作者:本田直之

発売日:2013-06-06

 

本書は今話題の働き方改革が始まる以前の2013年、これからの世の中はどういう働き方であるべきか、どういう働き方をしている企業がこの不確実なビジネスの世界を生き残っていくのかということを、他社とは違った取り組みをしている会社に実際に取材をして纏め上げた本である。

 

まだ社会に出ていない学生、入社した会社がしっくりこないと感じている第二新卒、4~5年社会人を経験して次のステップへ進みたい20代後半、もっといい働き口はないかと高みをめざす30代。これからの時代を切り開いていきたいという思いをもった全ての人の「目を開かせてくれる」ような本であることは間違いない。きっと「自分はなんて狭い世界にいるんだろう」と感じ取れるはずだ。

 

なんといってもそのバラエティ豊富な取材内容に圧倒される。あくまで取材した会社は作者の選択でしかないが、そもそも作者自体が型にとらわれないタイプでありそのようなタイプの人が選んだ会社なのだからか普通では考えもつかないような制度を導入している会社がずらり。こんな会社が存在していることを知ってしまったら、その世界に実際に足を踏み込みたくなって仕方がなくなってしまう。

 

さらに会社選びの観点にも複数の項目を設けており、内容を飽きさせない。労働時間の観点、社員への報酬の観点、モチベーションの観点、価値観の観点、いろんな側面から多様な取組みをしている企業を紹介することで読者に対して「あなたの価値観は何ですか」と聞いてきているのだ。

 

特に日本人が驚くのはEvernoteの取組みではないだろうか。「休暇のストレスは何かというと、休暇を何日取ったか、あと何日残っているかを計算しながら休まないといけないと思ったんです。そういう心配をしないで休暇が取れるよう、無期限休暇制度を設けています」こんな会社が世の中に存在しているのだ。

 

Evernoteに限らず、とにかく斬新な取組みをしている企業が目白押し。ただしこうした企業の本質は優秀な人材が集まるように、また集まった人材が活躍できるように制度を整えているのである。つまり人材に投資することに本気の企業だからこそ、優秀な人材選びにはそこらの企業とは一線を画している。どのように自分の市場価値を高めていくのか、多くの企業の取材結果から見えた求められる力についても本書は触れている。

 

「一生同じ会社で定年まで勤めあげる」という価値観とは正反対の世界に生きている作者だからこその一冊であり、根底には「好きなことをして生きていこう」「もっと広い世界を見にいこう」というようなメッセージが一貫しているような気がする。

 

2013年にこの本を出版しているということを忘れさせられるぐらいの内容である。